てんかん|盛岡市のくわた脳神経外科クリニック

てんかんとは、脳の神経活動に異常が生じ、一時的に意識や行動、感覚に異常をきたす「てんかん発作」を繰り返す疾患です。発作は突然起こることが多く、患者さん本人にとっても、周囲にとっても大きな不安要因となります。

てんかんは小児から高齢者まで幅広い年齢層にみられる病気であり、脳神経外科はその診断や治療、必要に応じて手術対応など、てんかん医療の中心的な役割を担います。

てんかんの原因と発症に関与する要因

てんかんの原因は多岐にわたり、脳の外傷、脳卒中、腫瘍、脳奇形、感染症、遺伝的要因などが挙げられます。また、原因がはっきりしない「特発性てんかん」も存在します。年齢や発症時期によって背景にある病態が異なるため、丁寧な診断が重要です。

てんかん発作の種類と分類

てんかん発作は、大きく「部分(焦点)発作」と「全般発作」に分類されます。発作が脳の一部から始まるものが部分発作、脳全体に一斉に起こるものが全般発作です。

部分発作・全身発作などの特徴

部分発作では、意識が保たれるケース(単純部分発作)と意識が一時的に失われるケース(複雑部分発作)があります。一方、全般発作は全身のけいれんや、突然意識を失って倒れるなど劇的な症状が見られます。

てんかん発作の前兆・症状・精神症状・合併症

発作の前には「予兆(オーラ)」と呼ばれる感覚が現れることがあります。たとえば、においや音の異常、吐き気、不安感などが挙げられます。発作後には一時的な記憶障害や精神的混乱、頭痛、筋肉痛を伴うこともあります。

また、うつや不安障害などの精神的合併症がある場合も多く、全人的なケアが求められます。

重積発作・難治性てんかんとその対処法

発作が5分以上続いたり、短時間に何度も繰り返される状態は「てんかん重積発作」と呼ばれ、命に関わる危険もあるため、緊急対応が必要です。また、薬で発作がコントロールできない「難治性てんかん」の場合には、外科治療やVNS(迷走神経刺激療法)なども選択肢となります。

てんかんの診断・検査方法

脳波検査・MRI・画像診断の役割

てんかんの診断では、脳波検査(EEG)によって脳の電気活動の異常を確認します。あわせてMRIやCTなどの画像検査で、脳に異常がないかを調べます。これらの検査は、発作の原因や焦点の特定、外科的治療の可否判断に欠かせません。

てんかんか他の病気か?鑑別のポイント

てんかんと似た症状を示す疾患には、失神、心因性発作、脳血管障害、睡眠障害などがあります。これらを見分けるためには、詳しい問診、発作の様子の観察、検査結果の総合的な判断が必要です。

診察で問われること・記録しておくべき情報

初診時には「発作の様子」「発症時の状況」「家族歴」「既往歴」など、できる限り詳細な情報が重要です。動画や日記などで発作の記録を残しておくことも、診断や治療方針の決定に役立ちます。

てんかん治療の選択肢と最先端アプローチ

薬物療法(抗てんかん薬)とその作用・副作用

てんかんの基本的な治療は薬物療法です。抗てんかん薬は脳の異常な電気活動を抑えることで発作を予防します。ただし、薬には副作用もあるため、定期的な血液検査や副作用の確認が必要です。治療の継続が重要であり、自己判断での中断は避けましょう。

難治性てんかんに対する外科的治療

薬で発作がコントロールできない場合、外科的に焦点を切除する手術や、迷走神経刺激療法、脳深部刺激療法(DBS)などの選択肢もあります。当院では、必要に応じて専門施設と連携し、外科的治療についてもご案内しています。

てんかん患者さんや周囲の人が日常生活で注意したいこと

運転について

発作のある方が自動車を運転することは大変危険です。一定期間、発作がないことが確認されれば運転が許可される場合もありますが、医師の診断書が必要です。法律や安全面の観点からも慎重な対応が求められます。

日常生活での注意点(睡眠不足・ストレス・刺激など)

てんかん発作を誘発する因子には、睡眠不足・過度のストレス・アルコール・強い光刺激などがあります。生活リズムを整え、体調管理をしっかり行うことが、発作予防に重要です。

てんかん患者と周囲の人の配慮・言ってはいけない言葉

てんかんは目に見えない疾患であるため、周囲の無理解が患者さんの大きなストレスになります。「気のせい」「大げさ」といった無配慮な言葉は避け、理解とサポートの気持ちを持って接することが大切です。

子どものてんかん(小児てんかん)と大人、年齢別の症候群と特徴

小児てんかんの主な症候群・特徴と治療法

小児てんかんは発達段階によってさまざまなタイプがあり、代表的なものにはローランドてんかん、ウエスト症候群、レノックス・ガストー症候群などがあります。成長とともに自然に治るタイプもあれば、早期治療が重要なタイプもあり、慎重な診断と対応が必要です。

成人・高齢者での発症メカニズムと対応の違い

成人では頭部外傷や脳腫瘍、脳卒中などが原因となることが多く、高齢者では脳血管障害後のてんかんが増加しています。加齢による薬の副作用リスクも考慮しながら、生活の質を落とさない治療が求められます。

てんかんのご相談は盛岡市もくわた脳神経外科クリニック

盛岡市のくわた脳神経外科クリニックでは、てんかんの診断から治療まで患者さまお一人おひとりに寄り添ったサポートを行っています。てんかんについて不安や疑問のある方は、どうぞお気軽にご相談ください。