ふるえ|盛岡市のくわた脳神経外科クリニック

ふるえとは?

ふるえの意味と漢字表記について

ふるえとは、体の一部または全身が不随意に小刻みに動く状態を指します。一般的に「震え」や「振るえ」と表記されます。これは私たちの意思とは関係なく起こる筋肉の収縮と弛緩の繰り返しによって生じる現象です。

振戦(しんせん)とは?医療で使われる言葉

医学用語では、ふるえのことを「振戦(しんせん)」と呼びます。これは体の一部が規則的に細かく動く不随意運動を表す専門用語です。振戦の性質や出現する状況によって、様々な病態が考えられます。

ふるえが起きるメカニズムと体の反応

ふるえは、脳から筋肉への命令系統(神経回路)に何らかの異常が生じることで発生します。通常、脳からの信号は適切なタイミングで筋肉に伝わりますが、この伝達系統に乱れが生じると、筋肉が不規則に収縮と弛緩を繰り返し、ふるえとして現れます。これには、大脳基底核、小脳、脳幹などの神経回路が関与しています。

体が小刻みに震える・全身の震えの主な原因

生理的なふるえと病的なふるえの違い

生理的なふるえには、寒さによる体温維持のための震え、緊張や不安による一時的な震え、疲労や空腹時の震え、カフェインや薬物の作用による震えなどがあります。一方、病的なふるえは特定の疾患に関連した持続的・進行性の震えであり、安静時や特定の動作時に顕著になることが特徴です。これらは多くの場合、薬物治療が必要となる程度の機能障害を伴います。

突然現れる全身の震え―寒くないのに体が震える理由

寒くないのに体が震える場合、低血糖状態や甲状腺機能亢進症が原因のことがあります。また、不安障害やパニック発作、感染症による発熱前の震え、自律神経の乱れ、薬物の副作用や離脱症状なども考えられます。これらの症状が見られた場合は、背景にある病態を特定するために医療機関での診察が重要です。

代表的なふるえを引き起こす病気・疾患

ふるえを引き起こす代表的な疾患としては、本態性振戦、パーキンソン病、小脳性振戦、甲状腺機能亢進症、ウィルソン病、薬剤性振戦、多系統萎縮症、心因性振戦などが挙げられます。それぞれの疾患によってふるえの特徴や随伴症状が異なるため、正確な診断には専門的な評価が必要です。

ふるえを引き起こす主な疾患

本態性振戦の特徴と症状

本態性振戦は最も一般的な振戦疾患です。両側性、対称性の振戦が特徴で、特に手に多く見られます。動作時や姿勢保持時に増強し、安静時には軽減するという特徴があります。通常はゆっくりと進行し、アルコールで一時的に改善することが多いことも特徴的です。また、家族歴が見られることが多く、遺伝的要素も関与しています。頭部、声、顎などにも影響することがあり、進行すると日常生活に支障をきたすことがあります。

パーキンソン病によるふるえの特徴

パーキンソン病による振戦は安静時に最も顕著(静止時振戦)であることが特徴です。初期には片側から始まることが多く、「ピル転がし振戦」と呼ばれる特徴的な動きを示します。手足だけでなく、顎や舌にも現れることがあり、意識して動作を行うと一時的に減少します。また、睡眠中は消失するという特徴もあります。パーキンソン病では振戦以外にも筋強剛、動作緩慢、姿勢反射障害などの症状が現れることが多いです。

甲状腺機能亢進症がもたらすふるえの特徴

甲状腺機能亢進症による振戦は細かく速い振動(細粒振戦)が特徴で、手指を伸ばした時に顕著になる姿勢時振戦として現れます。全身性の震えを伴うこともあります。この疾患では振戦以外にも動悸、多汗、体重減少、眼球突出などの症状を伴うことが多く、これらの症状が総合的に診断の手がかりとなります。甲状腺機能の正常化により振戦も改善するため、原疾患の治療が重要となります。

その他の神経疾患やふるえの原因となるケース

小脳性疾患では意図振戦(動作の終末に増強する振戦)が特徴的です。また、抗うつ薬、抗精神病薬、気管支拡張薬などによる薬剤性振戦や、肝不全、腎不全などの代謝性疾患による振戦も見られます。さらに、アルコールや薬物の離脱症状として振戦が現れることもあります。多発性硬化症や脳血管障害後にも振戦が生じることがあり、原因に応じた対応が必要です。

ふるえの治療について

安静・生活習慣改善によるふるえの軽減

ふるえの軽減には生活習慣の改善が効果的な場合があります。カフェインの摂取を制限することや、アルコールを適切に管理することが重要です。場合によっては完全な禁酒が必要になることもあります。また、十分な睡眠と休息を確保し、ストレスマネジメント技術を習得することも大切です。規則正しい生活リズムを維持し、適度な運動を行うことで、全体的な健康状態を改善し、振戦を軽減できることがあります。

薬物療法の種類と効果・注意点

本態性振戦に対する薬物療法にはβ遮断薬(プロプラノロールなど)、抗てんかん薬(プリミドンなど)、ベンゾジアゼピン系薬剤などが用いられます。パーキンソン病に対してはレボドパ製剤、ドパミンアゴニスト、MAO-B阻害薬、COMT阻害薬などが使用されます。薬剤の効果には個人差があり、副作用の可能性もあるため慎重な経過観察が必要です。複数の薬剤を組み合わせることもあり、長期使用に伴う効果の変化にも注意が必要です。医師の指導のもとで適切な薬物療法を行うことが重要です。

超音波・脳深部刺激療法(DBS)・外科的手術

薬物療法で効果不十分な重度の振戦に対しては、脳深部刺激療法(DBS)が検討されることがあります。これは脳の特定部位に電極を埋め込み、電気刺激を与える治療法で、パーキンソン病や本態性振戦に有効です。また、集束超音波治療(FUS)は脳の特定部位に超音波を集中させ、組織を熱凝固させる非侵襲的治療法で、手術を必要としない新しい選択肢となっています。定位脳手術は視床や淡蒼球などの脳深部の特定部位を熱凝固などで破壊する方法で、他の治療法が効果不十分な場合に検討されます。

盛岡市でふるえのご相談ならくわた脳神経外科クリニックへ

盛岡市のくわた脳神経外科クリニックでは、最新の医学知識と豊富な経験を持つ脳神経外科専門医が、ふるえでお悩みの患者様に適切な診断と治療を提供しています。

ふるえの症状は人それぞれ異なり、その原因も様々です。当クリニックでは、一人ひとりの症状に合わせた丁寧な診察と検査を行い、最適な治療プランをご提案いたします。

生活の質を低下させるふるえの症状でお悩みの方は、早めのご相談をおすすめします。盛岡市のくわた脳神経外科クリニックでは、最新の治療法と温かい患者サポートで、皆様のお悩み解決をサポートいたします。